センチネルリンパ節をさがす方法には現在3種類あります。色素法、放射線同位元素法、蛍光色素法の3つです。
これらの薬剤を癌の周囲と乳頭に注射し、薬剤が最初に流れて行くリンパ節をセンチネルリンパ節と判断し、手術で摘出し、顕微鏡で転移がないかどうかを調べます。 色素法はセンチネルリンパ節の検出率が低いこと、放射線同位元素法は取り扱いが難しいこと、 被爆の問題、さらに検査に費用と時間がかかることなどの問題点があります。 このため、最近では蛍光色素法が普及してきています。
センチネルリンパ節生検は、乳房の手術と同時に行うことが多く、 この場合、術中に病理診断を行ないます。標本を凍結して顕微鏡で判定するのですが、誤診率が10-40%程度あり、判定が難しいのが現状です。 このため、先にセンチネルリンパ節生検を行ない、摘出したリンパ節をホルマリンで固定し、 永久標本できちんと顕微鏡診断を行なってから乳房の手術を行う施設もあります。この場合、正確な診断がでるまでに約2週間かかります。
当院ではOSNA法による癌遺伝子診断による、術中転移診断を行っています。30~40分で結果が判明し、確定診断率が95%程度とされ、術中病理検査よりも高い精度で判定できます。
センチネルリンパ節生検を行ない、転移がないと診断された場合、不必要な腋窩リンパ節郭清をせずにすむので、 体への負担が減り、術後の障害も少なくなります。センチネルリンパ節生検は、平成22年4月より保険適用になり、現在では標準的方法として広く普及しています。
欧米では、センチネルリンパ節生検の代わりに腋窩にある4-5個のリンパ節を摘出し、病理学的に転移がなければ、
腋窩郭清を省略するfour nodes biopsyも行なわれています。
当院では、被爆の問題のない蛍光色素法によるセンチネルリンパ節生検を行なっています。
1・蛍光色素を腫瘍に注射
2・蛍光色素により写しだされた
リンパ管とセンチネルリンパ節
3・センチネルリンパ節の摘出
4・摘出したセンチネルリンパ節